乳がんの診断・治療
乳がんは、乳房にできる腫瘍がおこす病気です。日本人女性の場合、生涯で乳がんにかかる割合は16人に1人とも、12人に1人とも言われています。
また、きわめて稀ですが、男性が乳がんになる場合もあります。
乳がんになると下記の症状があらわれることがあります
- 乳房のしこり、隆起(新たにできたもの)がある
- 乳房の陥凹(新たにできた「えくぼ」)がある
- 乳頭に湿疹やただれがおきる
- 乳汁分泌、特に血性乳汁(血が混じった分泌物)が出る
- 腕をあげると乳房の皮膚にへこみができる
- 脇の下(リンパ節)に硬いしこりがある
- (男性の場合)胸の異常発達がある
診断について
乳がんは体表の疾患ですので、ご自身で触診による自己検診をすることが可能です。
発見の経緯も、ご自身が気づいて医療機関を受診し、診断にいたる方が多いです。
医療機関では、一般的に、下記の診察・検査・診断をおこないます。
- 視診・触診による診察
- マンモグラフィーによる検査・診断
- 超音波(エコー)による検査・診断
- 穿刺吸引細胞診による診断
- 針生検による病理診断
- 生検による病理診断(上記の検査で診断が確定できないとき、部分切除による)
- CTやMRIによる局所および全身の臓器診断(乳がんが確定したのち)
治療について
乳がんの治療はさまざまな研究が進行していますが、ガイドライン上は、病変の外科手術による摘除が基本となります。腫瘍とその周辺を摘出する部分切除(乳房温存術)や乳房をすべて切除する乳房切除術があります。また、所属リンパ節である腋窩リンパ節に関し、センチネルリンパ節(見張り番リンパ節=最初に入り込むリンパ節と仮定)生検の考えを許容するのか(見張り番リンパ節にがん細胞が入っていなければ、その先のリンパ腺には入り込んでいないとの仮説)、通常郭清を行うのか、分かれ道があります。腫瘍の大きさや進行度合い、ご本人の希望によって乳房温存・非温存とセンチネルリンパ節生検の手法をとるとらないを判断することとなります。
当院では、診断をおこない、手術が必要な場合は、ご希望の医療機関や近隣の医療機関へ紹介しています。最近まで、実際に手術を担当していた者として、術式の選択のための各種情報提供を行うことができます。また、近隣の病院やがん専門病院の臨床の現場もある程度把握していますので、医療機関選択のための情報提供も可能です。一方、手術治療後も、手術を担当した医療機関と連携して、ホルモン療法や定期フォローに対応しています。